2024年9月18日、ハーヴェストムーンと呼ばれる満月を迎えたこの日、茨城県潮来市にある「海雲山長勝寺」にて能と音楽を鑑賞できるイベントである『第7回観月の夕べ -能と音楽のひととき-』が開催されました。
仲秋の名月のお月見をしながら美しい音楽と能楽の催しを楽しむことができる『観月の夕べ』は、コロナ禍前までは静岡県伊豆にて開催されていたそうですが、ご縁があって今回からは潮来市にて開催。夜のお寺という神秘的なシチュエーションでの優雅なひとときとなりました。
第1部 音楽コンサート(フルート・ピアノデュオ)
第1回から会に参加されているフルート奏者の内野浩乃さんと、ピアノ奏者の高野友理香さんによる演奏。
演奏曲の中の「荒城の月による変奏曲」は、小雨の中に整然と佇む本堂において、その光景がしっかりと脳裏に浮かんでくるような不思議な気分で聞いておりました。
夜に聴く荒城の月の神秘性に魅せられた瞬間でした。
演奏曲は、このほかに、ピアノソロによる「月の光」など全4曲。
第2部 音楽コンサート(ヴァイオリン・ピアノデュオ)
ヴァイオリン奏者阿部美緒さんと、ピアノ奏者根木マリサさんによる演奏。11月にも成田でライブを開催されるというお2人は息もぴったり。
ムーライトセレナーデやMy favorite thingsなどお馴染みの曲目が並び、そして、ジャズがベースということもあり、観覧者もノリノリになっている姿が見受けられました。
会場にいる人たちを一体にしてしまう音楽のちからって、素晴らしいですよね。
演奏曲は、このほかに「星に願いを」など全5曲。
第3部 能「羽衣」
能楽師八田達弥さんによる能の舞。
八田さんは、観世流能楽師であり、重要無形文化財(総合指定)保持者でもあります。東日本大震災の被災地支援団体の代表でもあり、陸前高田市の「奇跡の一本松」を背景に能を奉納されたりしています。
能とは?
室町時代(14世紀)に成立した能は、六百年を越える歴史の中で独自の様式を磨き上げてきた日本の代表的な古典芸能であり、同時に、現代に生きる世界の演劇の一つでもある。その特徴を一言で言えば、面と美しい装束を用い、専用の能舞台で上演される歌舞劇、とまとめることができるだろう。
出典:能楽協会(https://www.nohgaku.or.jp/)
日本の代表的な古典芸能であり、かつてはより身近にあったであろう能。にもかかわらず、触れる機会が少なくなってしまった現代において、お寺の本堂の中で、そしてこんなに間近で観能する機会を得られたということに感嘆の意を覚えました。
筆者個人的なお話になってしまいますが、2月より開催されていた、ロコティーアカデミーのワークショップ「世界最古のミュージカルを学ぶ」に参加させていただいたのですが、第2回のテーマが「羽衣の謎」と「能面」。
そう、今宵の演目である「羽衣」について八田先生より解説いただいた上に、能面をつけさせていただくという体験までしていたのです。
ご本人から解説を聞いていた演目を、この目で、しかも間近で見ることができたということで、まだまだ興奮が冷めません。
観能自体が初めてだったのですが、なんとも言えない緊張感というかものすごい迫力があり、しなやかな動きに見惚れて吸い込まれてしまいそうな経験ができたこと、そして、600年以上もの長い間、伝統を守り続けてきてくれたことに感謝したいと思います。
予期せぬ雨により、名月を愛でながらの観覧は叶いませんでしたが、来年以降も「観月の夕べ」は開催される予定だそうですので、機会がありましたらぜひ足をお運びくださいませ。
また、再来年には鹿行地域での能楽公演が計画されているとのことです。こちらも楽しみです。
2024年9月18日(水) 18:30〜開演
海雲山長勝寺本堂前
【主催】 鹿行水郷 能の会
【協力】 長勝寺 / Locoty
【後援】 潮来市 / 潮来市教育委員会
コメント